慣用句や決まり文句は、コミュニケーションを豊かにし、会話をより自然で生き生きしたものにしてくれる、とても便利なツールです。
スペイン語を勉強していると、非常に多くのスペインのことわざがあることに気づくでしょう。そして、そのほとんどは他の言語に直訳することができません。そのため、正しく使うにはまず意味をよく理解することが大切です。
ことわざ(refranes)とは何?何のために使うの?
「refrán」という言葉はフランス語の refrain に由来し、「よく使われる短い言い回し、格言」のような意味を持ちます。
つまり、ことわざ・慣用句(refranes)とは、
- 古い伝承に由来する
- 短い決まり文句
- 教訓・警告・知恵を含む
- 主に日常会話やカジュアルな場面で使われる表現のことです。
作者不明のものが多いですが、文学作品や聖書に由来するものもあります。
内容も、天気・季節・お金などの身近な話題から、運命・死・愛・私たちの行動や態度がもたらす結果といった深いテーマまで様々です。
スペイン語の代表的なことわざとその意味
本記事では、数あるスペインのことわざの中から特に代表的なものをいくつか紹介します。もちろん、ここですべてを紹介するのは不可能ですが😅、本記事から少しずつ学び始めて、慣れてきたら自分のスペイン語ことわざリストを増やしていくとよいでしょう。
「A quien madruga, Dios le ayuda」(直訳 : 早起きをする者を神様は助ける) ”早起きは三文の得”
勤勉さ・責任感の大切さを示すことわざ。
時間を有効に使い、行動的であることで良い結果を得られる、という意味です。
「No hay mal que por bien no venga」(直訳 : 悪いことも、良いことに繋がらないことはない) ”災い転じて福となす”
逆境の中にも良いことを見つけられる、という楽観的な教え。
似た逆の意味の表現として 「Al perro flaco, todo son pulgas」(直訳 : 痩せた犬にはノミばかり。”弱り目に祟り目、泣き面に蜂”) があります。
「De tal palo, tal astilla」(直訳 : その棒から、その木片)”蛙の子は蛙”
家族間特に親子間で容姿や性質・行動が似ることを指します。
このことわざは、文脈によってはポジティブな意味でもネガティブな意味でも使われます。
「En casa del herrero, cuchara de palo」(直訳 : 鍛冶屋の家で、木のスプーン)”紺屋の白袴、医者の不養生”
この表現は、ある場所や環境において、本来欠けてはならない物や美徳が存在しない状態を表します。また、ある専門技能を持つ人が、なぜか自分の家ではその技術を活かしていない、という皮肉を込めて使われることもあります。
例:料理人なのに家では料理しない、メカニックなのに自分の車は故障したまま、など。
「El que no corre, vuela」(直訳 : 走らない者は飛ぶ)”早い者勝ち”
このことわざは、日常の様々な状況に当てはまるため、スペインではよく使われます。他の人に取られる前にチャンスが来たらすぐに掴むべき、という意味です。
行動の速さ・積極性を促す時に使います。
「A lo hecho, pecho」(直訳 : 成ったことは、胸を張れ)”済んだことは仕方ない”
このことわざは、自分の行動はどんな小さなことでも自分自身やその周りに影響を及ぼし、それぞれの行動にはそれに対する結果が伴うため、受け入れ責任を取るべきであるという教えを表します。
「Ojo por ojo, diente por diente」(目には目を、歯には歯を)
これは、「報復の法、同害報復の法(Lex Talionis)」として日本でもよく知られることわざです。
誰かが悪いことをすればその人は同じ悪を受けるべき、または他者を傷つけて後に同じような状況に陥った場合に使われます。
他のスペイン語類似表現:
- Con la vara que midas, serás medido(人を裁く物差しで、自分も裁かれる)
- Quien a hierro mata, a hierro muere(刃物で人を殺した者は、刃物で死ぬ)
どちらのことわざも、あなたが他人に接したようにあなたも他人に扱われるという教えを表します。
「A rey muerto, rey puesto」(直訳 : 王死すれば、新たな王が立つ)”去る者は追わず”
人もモノも、不可欠ではないという意味です。
誰かが辞めたりいなくなっても、すぐに別の誰かがその役目を担うように、人生も移ろいやすく、永遠に続くものではないため私たちはそれに備えらければならない、という教えです。
3つのスペイン語のことわざとその由来
終わる前に、もう3つ非常に興味深い歴史に由来するスペイン語のことわざを紹介したいと思います。きっと、どこかで聞いたことがあるかもしれません。
「Quien se fue a Sevilla perdió su silla」(直訳 : セビリアに行った者は、その席を失った。)”席を立ったら最後”
このことわざは、その場を離れたら席を取られてしまう、という意味です。
セビリア大司教の地位を巡る争いがあり、当時の就任者が一時的に離れたところ、戻ってきたら地位を奪われていたことに由来します。
«A buenas horas, mangas verdes»(直訳 : いい時間、緑の袖)”もう手遅れだ、遅すぎる”
カトリック両王時代、盗賊などの悪党たちを捕らえるための組織が存在しており、
彼らは緑の袖の制服を着ていましたが、いつもそのミッションに遅れて登場していたため、この表現が生まれました。
«Como Pedro por su casa»(直訳 : まるでペドロが自分の家のように)”我が物顔で”
この表現は、まるでその場所を自分の家のように振る舞う人のことを表します。高慢で傲慢な態度を持つ人に使われることが多く、ややネガティブで軽蔑的なニュアンスも含みます。
アラゴン王ペドロ1世が、ほとんど抵抗なくウエスカを征服したことから、「ウエスカをペドロのように自由に歩き回る」という表現が生まれ、現在の形になったと言われています。
まとめ
言語を深く理解するのは簡単ではありません。
でも、地域のことわざや決まり文句を覚えることで、更にスペイン語が上達し、文化理解が深まり、会話がより自然でスムーズになり、とても効果的にスキルを伸ばせます。
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